蔵とその歴史 The Kura and Its History 創業は明治元年。「今田酒造本店」がある広島県安芸津(あきつ)町は、400年という県内では最も古い酒造業の歴史を持つ町、「広島杜氏」の故郷でもあります。以前は町内に十七あった酒蔵も今では三つ。 しかし広島県は現在でも日本を代表する酒処として知られており、醸造量も毎年全国第六位内に入るほど。今田酒造本店で造られる酒は実に"広島らしい"酒と言われています。徹底した高級酒路線で「伝統 を守るだけではなく、時代に合わせて新しいものを産み出していきたい」と常に前向きなチャレンジを続けています。
富久長の酒 Fukucho Sake 広島らしい酒"、それは「三浦仙三郎」という人物抜きで は語れません。三浦仙三郎は灘を見習って酒造りをしていましたが、水の違いからどうしてもうまく造ることができませんでした――灘の水は硬水、広島の水はミネラルの少ない超軟水です。その水の違いが実は米の発酵に 影響するという事実を見出した仙三郎は、軟水の醸造法を研究し、20年をかけて遂に「改醸法実践録」を完成させたのです。それは広島杜氏のバイブルとなりました。この実践録の原稿が今田酒造本店に残されています。又 「富久長」という酒名は仙三郎の命名です。ふっくらとしたやわらかい飲み口の富久長。蔵で造る酒の8割が純米吟醸酒と吟醸酒です。石数は500石。三代目社長の今田之直氏は「米と水、そして人を大切にして出来上がった 酒を、できるだけ良い状態で飲んでもらいたい」と蔵内に2万本冷蔵できる設備を備える等、行き届いた管理を行っています。
支える力 A Promising Future 「富久長」の次代を支えていくのが社長の長女・美穂さん。現在20 年以上「富久長」を造り続けてきた、杜氏の保広清孝氏について酒造りを学び、いずれは家業を継ぐ今田酒造本店・期待の星。ラベルや商品名にも女性の感覚を取り入れ、ユニークでモダンなセンスを発揮しています。 |